試用期間の給料は下げてもいい?減額が違法になるラインと入社前の確認方法
公開: 2026/08/19 ・ 最終更新: 2026/08/25 ・ 著者: 与謝秀作
試用期間中の給料を本採用後より低く設定すること自体は違法ではありません。ただし最低賃金を下回る、事前の明示がない、残業代を払わない、社会保険に加入させないといったケースは違法です。減額が認められる条件と違法になる4つのライン、入社前に労働条件通知書で確認すべき項目を解説します。

公開: 2026/08/19 ・ 最終更新: 2026/08/25 ・ 著者: 与謝秀作
試用期間中の給料を本採用後より低く設定すること自体は違法ではありません。ただし最低賃金を下回る、事前の明示がない、残業代を払わない、社会保険に加入させないといったケースは違法です。減額が認められる条件と違法になる4つのライン、入社前に労働条件通知書で確認すべき項目を解説します。

試用期間中の給料を本採用後より低く設定すること自体は、違法ではありません。ただし適法となるのは、入社前にその金額が労働条件として明示されている場合に限られます。入社後に一方的に下げる、最低賃金を下回る、といったケースは違法です。
この記事では、試用期間の賃金について「どこまでが合法で、どこからが違法か」の線引きと、入社前に確認しておくべき項目を整理します。試用期間そのものの仕組みは試用期間とは?お試し転職との違い・知っておくべき権利で解説しています。
労働基準法には「試用期間中の賃金を本採用後と同額にしなければならない」という規定はありません。賃金額は労使の合意で決まるため、試用期間中だけ基本給を低くする、あるいは一部の手当を支給しないという設計も、契約として成立していれば有効です。実際、飲食・小売・製造などでは試用期間中の時給を数十円下げる運用が広く見られます。
労働基準法15条は、賃金の額や計算方法を労働契約の締結時に書面等で明示するよう会社に義務づけています。賃金は「絶対的明示事項」であり、口頭説明だけで済ませることはできません。したがって、試用期間中と本採用後で賃金が変わるなら、その差も含めて入社前に書面で示されている必要があります。労働条件通知書に「試用期間3か月・その間の基本給◯◯円」と記載があれば適法、記載がないのに入社後に下げられたなら違法、という判断になります。
求人票に書かれた金額は「見込み」であり、それだけで契約内容が確定するわけではありません。ただし職業安定法により、求人票の内容から労働条件を変更する場合、会社は変更点を求職者に明示する義務を負います。求人票では月給28万円だったのに労働条件通知書では試用期間中24万円、という差があるなら、署名する前に理由と本採用後の金額を確認してください。ここで説明を濁す会社は、入社後の条件変更にも同じ姿勢で臨む可能性があります。
「試用期間だから」で正当化できない領域があります。次のいずれかに当てはまるなら、金額の合意があっても違法の可能性が高くなります。
最低賃金法には、試の使用期間中の人などについて最低賃金を減額できる特例が置かれています。ただしこれは会社が自由に使える仕組みではなく、都道府県労働局長の個別許可が必要で、減額できる幅にも上限があります。許可を得ずに最低賃金を下回る金額を支払っていれば、単純な最低賃金法違反です。提示額が地域の最低賃金を割っているなら、まず許可の有無を確認してください。
待遇差を説明されると「試用期間中は権利も制限される」と受け取りがちですが、実際に変えられる範囲は限られています。
内定承諾の前、遅くとも労働条件通知書に署名する前に、次の5点を確認してください。すべて口頭ではなく書面で残すのが基本です。
額面と手取りの差でも印象は大きく変わります。提示額から実際に受け取れる金額を把握しておきたい場合は年収とは?手取り・額面・所得との違いもあわせて確認してください。
書面を確認しても、実際の残業の付き方や評価の運用までは分かりません。おためし転職では、入社を決める前に実際の職場で働き、体験報酬を受け取ったうえで判断できます。試用期間の賃金差に不安があるなら、そもそも「試してから決める」という順番に変える方法もあります。仕組みはお試し転職とは?サービス比較と始め方で解説しています。
そもそも差を設けない会社も多く、設ける場合でも1割前後にとどまるのが一般的です。2割を超える差や、基本給ではなく大半の手当を止めるかたちの減額は、水準として説明を求めてよい範囲です。
労働条件通知書にその記載がなければ、契約内容は通知書のほうです。まず書面を確認し、記載と違う額が支払われているなら差額を請求できます。会社と話がつかない場合は、勤務先を管轄する労働基準監督署に相談してください。
通勤手当の支給は法律上の義務ではなく、就業規則や労働契約の定めによります。したがって支給しないこと自体は直ちに違法とは言えません。ただし、求人票に「交通費支給」と書かれていたのに支給されないなら、条件の相違として説明を求められます。
労働条件通知書に本採用後の金額が明記されていれば、その金額を支払う義務があります。明記がなく「能力に応じて決定」等の記載にとどまる場合は交渉の余地が残るため、まず評価の根拠を確認しましょう。改善が見込めないなら、条件を明示する会社への転職を検討する段階です。
試用期間中の減額は、事前に明示され、最低賃金を上回っていれば適法です。逆に言えば、入社後に一方的に下げる、最低賃金を割る、割増賃金や社会保険を省くといった行為は、試用期間を理由に正当化できません。判断の起点は常に労働条件通知書であり、署名前の確認がそのまま自分を守る手段になります。
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※本記事は一般的な法令の考え方を整理したものです。個別の事案の判断は事情により異なるため、具体的なトラブルは労働基準監督署や弁護士等の専門家にご相談ください。

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