公開: 2026/05/25 ・ 最終更新: 2026/05/26 ・ 著者: 与謝秀作
「貴社」の読み方と意味|誤読しやすい注意点
「貴社」の正しい読み方は「きしゃ」。意味、誤読しやすい注意点、書き言葉と話し言葉(御社)の使い分け、履歴書・面接での実践例、ビジネス敬語の関連知識まで、転職活動で困らないように解説します。

公開: 2026/05/25 ・ 最終更新: 2026/05/26 ・ 著者: 与謝秀作
「貴社」の正しい読み方は「きしゃ」。意味、誤読しやすい注意点、書き言葉と話し言葉(御社)の使い分け、履歴書・面接での実践例、ビジネス敬語の関連知識まで、転職活動で困らないように解説します。

転職活動で履歴書や応募メールを書くとき、頻繁に登場する「貴社」という言葉。実は読み方を誤ったり、似た言葉である「御社」と混同したりするケースは少なくありません。
「貴社」と「御社」の使い分けは、ビジネスマナーの基本でありながら、意外と知らずに就職活動・転職活動を進めている人も多い領域です。書類選考や面接で減点要素にならないためにも、しっかり押さえておきたい敬語の一つです。
この記事では、「貴社」の正しい読み方と意味、誤読しやすい注意点、「御社」との使い分け、そして転職活動での実践的な使い方まで、コンパクトに整理して解説します。
「貴社」の正しい読み方は「きしゃ」です。「とうとしゃ」「たかしゃ」「とうとびしゃ」と読むのはすべて誤りです。
「貴」は単独では「とうとい」「たっとい」と読みますが、「貴社」と熟語になった場合は音読みの「キ」、「社」も音読みの「シャ」で、合わせて「きしゃ」と読みます。
普段の会話で「貴社」を声に出す機会は少ないため、いざ読み上げる場面で詰まってしまう人も少なくありません。研修やプレゼンで資料を音読するとき、ふとした瞬間に読み方が問われる場面はあるので、基本として押さえておきましょう。
「貴社」は、相手の会社に対して敬意を込めて使う書き言葉(文章語)です。「あなたの会社」を丁寧に表現する言い回しで、書面で相手企業を立てる役割を果たします。
ポイントは「書き言葉である」こと。話し言葉では別の言葉(後述する「御社」)が使われ、文書では「貴社」が使われる——この使い分けが、ビジネス敬語の基本ルールです。
「貴社」が登場するのは、すべて「書く場面」です。
いずれも「文字として残るやり取り」です。「紙やメール画面上で目にする敬語」と覚えると整理しやすくなります。
「きしゃ」と読む言葉は、日本語に複数存在します。
「貴社の記者が汽車で帰社した」という、4つの「きしゃ」を含む早口言葉が紹介されることもあります。音だけだと判別しづらいため、文章中で使う際は文脈に注意が必要です。
逆に言えば、文字なら漢字の違いで一目瞭然なので「貴社」は文書での使用に適しています。話し言葉では別の言葉(御社)が選ばれているのも、この同音異義語の多さが背景にあります。
「貴社」は書き言葉のため、面接や電話などの口頭でのコミュニケーションでは原則として使いません。話し言葉で使うと、同音異義語との混同を避けるため不自然に聞こえてしまいます。
面接で「貴社の事業に共感しました」と言うと、聞き手は瞬時に「貴社」と「記者」「汽車」「帰社」を判別する必要が生じます。文章なら漢字で一目瞭然ですが、音だけでは一瞬の混乱が起こります。だからこそ口頭では別の言葉が使われるのです。
敬意を込めようとして「貴社さま」「貴社御中」と書いてしまう人もいますが、これは避けるべき表現です。「貴社」自体に敬意が含まれているため「さま」を付ける必要はなく、「御中」は宛名(封筒や宛先)に使う言葉で本文中の「貴社」と組み合わせるものではありません。
正しくは、封筒の宛名は「株式会社◯◯ 御中」、本文中は「貴社の◯◯について…」と使い分けます。
「貴」がついた敬語は他にもあります。混同しないよう、整理して覚えておきましょう。
転職活動では基本的に「貴社」を使えば問題ありませんが、官公庁や士業事務所などへの応募・問い合わせでは、状況に応じて「貴殿」「貴職」が登場することも頭に入れておくと安心です。
「御社」の読み方は「おんしゃ」です。意味は「貴社」と同じく「相手の会社を敬う言葉」ですが、決定的な違いは「話し言葉として使う」点にあります。
つまり、相手企業を敬う表現は、書く場合は「貴社(きしゃ)」、話す場合は「御社(おんしゃ)」と使い分けるのが、ビジネス日本語の基本ルールです。
使い分けの原則はシンプルです。
逆にしてしまうと、「履歴書に『御社』と書いてある」「面接で『貴社』と発言している」と、相手に違和感を与えてしまいます。
背景には、日本語の同音異義語の多さがあります。「きしゃ」と発音するだけでは「貴社」「記者」「汽車」「帰社」のどれを指すか分からないため、話し言葉では聞き取りやすい「おんしゃ」が使われるようになりました。一方、文字なら漢字で一意に判別できるため、書面では本来の「貴社」が使われ続けています。
どちらを使うか迷ったら、「相手に伝わる手段が文字か、音か」を考えてください。
志望動機や自己PRの中で応募先企業を指す場合は「貴社」を使います。
ただし、繰り返し「貴社」を使うと文章が硬く重くなりがちです。2〜3回に1回は「同社」「◯◯株式会社様」など別の表現に置き換えると、読みやすさが向上します。
企業への問い合わせメール、書類送付メール、面接後のお礼メールなど、応募先に送るメールでは「貴社」を使います。
お礼メールの例:「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。貴社の事業内容や組織文化について直接お話を伺うことができ、入社への意欲がより一層高まりました。」
カジュアル面談や本選考の面接では、話し言葉の場なので「御社」を使います。緊張すると、つい書類で書き慣れた「貴社」が口から出てしまうことがあるため、事前に意識しておくと安心です。
もし面接中に「貴社」と言ってしまっても、その場で大げさに訂正する必要はありません。次の発言から自然に「御社」に戻せば問題ありません。
「貴社」の対義語にあたるのが、自分の会社を指す言葉です。
転職活動で「自分の現職」や「前職」について話す際は、応募先企業に対して「弊社」を使うと自然です。
業態によっては「貴社」より適切な敬語があります。
一般企業への転職活動では「貴社」で問題ありませんが、業界特有の組織に応募する場合は、相手に合わせた敬語を選ぶことで、よりプロフェッショナルな印象を与えられます。
ビジネス文書には「貴社」を含む定型表現がいくつかあります。覚えておくと文章作成がスムーズです。
こうした定型表現は、内定承諾書の送付状や辞退連絡など、フォーマルな文書で活躍します。
「貴社」と「御社」を正しく使い分けられることは、転職活動の基本マナーです。これだけで書類選考や面接で「基本的なビジネスマナーがある人」という印象を与えられます。
ただし、敬語が完璧でも、入社後のミスマッチを防げるわけではありません。履歴書に「貴社の理念に共感しました」と書き、面接で「御社の事業に魅力を感じています」と語っても、外から見える企業の姿と内側で働くリアルには必ず差があります。
「貴社の◯◯事業に挑戦したい」と書類に書いた事業が、実は社内では縮小傾向だった。面接で語られた「フラットな組織文化」が、実際には部署ごとに大きく違った——こうしたミスマッチは、転職活動で最も避けたいリスクの一つです。
こうしたミスマッチを未然に防ぐ新しい選択肢が「お試し転職」です。本選考や入社決定の前に、興味のある会社で短期間(数日〜数週間)実際の業務を体験できる仕組みで、書類や面接だけでは分からないメンバーの言葉遣い、上司のマネジメントスタイル、意思決定のスピードといった「リアル」を確認できます。
敬語を正しく使うことは大切なマナーですが、それと同じくらい、入社前に職場のリアルを知る手段を持つことも、後悔しない転職には欠かせません。
郵送前であれば、新しい用紙で書き直すのがおすすめです。すでに提出済みの場合は、面接の場で誠実に対応することでカバーできます。今後の応募書類では必ず「貴社」を使うようにしましょう。
緊張で言ってしまうのはよくあることです。大げさに訂正する必要はなく、次の発言から自然に「御社」に戻せば問題ありません。気になる場合は「失礼いたしました、御社の…」と軽く言い直すだけでも丁寧な印象を残せます。
個人事業主には会社組織がないため、「貴社」より「貴方様」「◯◯様」と個人名で呼ぶのが適切です。屋号がある場合は「貴店」「貴事務所」など、業態に応じた敬語を選びましょう。
はい、同じ文中で何度も「貴社」を使うと、くどい印象になります。最初は「貴社」、2回目以降は「同社」「◯◯株式会社様」と置き換える、文脈に合わせて主語を変える、といった工夫が有効です。読み手への配慮が伝わる文章は、それだけで丁寧な印象を強めます。
最後に、この記事の重要ポイントを整理します。
「貴社」と「御社」を正しく使えるようになることで、ビジネスパーソンとしての基礎が整います。同時に、敬語だけに頼らず、実際の職場を確かめる手段を持つことが、自分に合った転職を実現する近道になります。

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