公開: 2026/03/16 ・ 著者: 与謝秀作

紹介予定派遣とは?仕組み・メリットデメリット・正社員登用率を解説

紹介予定派遣の仕組み・派遣期間・直接雇用率を厚労省データで解説。体験入社やおためし転職との違い、求職者・企業双方のメリットデメリット、正社員登用を成功させるポイントまで網羅。

紹介予定派遣とは?仕組み・メリットデメリット・正社員登用率を解説
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「派遣で働いてから正社員になれるって本当?」「紹介予定派遣とお試し転職はどう違うの?」——転職を検討する際、いきなり正社員として入社することへの不安を感じる方は多いものです。紹介予定派遣は、派遣社員として最長6か月間働いたうえで直接雇用に切り替えられる制度で、企業と求職者の双方がミスマッチを防げる仕組みとして注目されています。

本記事では、紹介予定派遣の仕組みから正社員登用率の実態、体験入社やおためし転職との違いまで徹底解説します。自分に合った「入社前に職場を知る方法」を選ぶための参考にしてください。

紹介予定派遣とは?基本の仕組み

紹介予定派遣とは、派遣先企業への直接雇用を前提として、一定期間派遣社員として働く雇用形態です。厚生労働省の定義によれば、派遣元事業主が派遣労働者と派遣先の間の雇用関係の成立をあっせんすることを予定して行う労働者派遣を指します。

仕組みとしては、まず派遣会社が雇用主となり、求職者を派遣社員として企業へ送り出します。派遣期間は最長6か月で、この間に企業と求職者の双方が適性を見極めます。派遣期間が終了するタイミングで両者に直接雇用の意思があれば、企業が求職者を自社の社員として正式に採用する流れです。

人材派遣と人材紹介の両方の要素を併せ持つ点が紹介予定派遣の最大の特徴です。紹介予定派遣を行う事業者は、労働者派遣事業と職業紹介事業の両方の許可を持つ必要があります。

通常の派遣・人材紹介との違い

紹介予定派遣は似た制度と混同されやすいため、違いを整理しておきましょう。

通常の派遣(有期雇用派遣)は、派遣期間中ずっと派遣会社との雇用契約が続き、派遣先への直接雇用は前提としていません。派遣期間の上限は最長3年です。また、派遣先企業が事前に派遣社員を面接することは原則禁止されています。

一方、紹介予定派遣は直接雇用が前提のため、派遣期間の上限は6か月と短く設定されています。さらに、派遣先企業による事前面接が認められており、書類選考や面接を経たうえで派遣を開始します。派遣期間中であっても双方の合意があれば直接雇用に切り替えられる点も、通常の派遣にはない特徴です。

人材紹介は、紹介会社が求職者を企業に紹介し、採用が決定した時点で紹介手数料が発生するサービスです。入社前に実際の業務を体験する「お試し期間」はありません。紹介予定派遣は、人材紹介にはない派遣期間という見極め期間を挟む点が大きく異なります。

紹介予定派遣の正社員登用率はどれくらい?

紹介予定派遣を検討するうえで気になるのが、実際にどれくらいの割合で直接雇用に至るのかという点です。

厚生労働省の「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」によると、紹介予定派遣から直接雇用に至った割合は約56%でした。つまり、紹介予定派遣で働いた方の半数強が直接雇用に結びついていることになります。

ただし、この「直接雇用」には正社員だけでなく契約社員やパート・アルバイトとしての採用も含まれます。正社員登用を目指す場合は、派遣開始前に直接雇用時の雇用形態を派遣会社を通じてしっかり確認しておくことが重要です。

逆に言えば、約44%は直接雇用に至っていないことも事実です。企業側から見送られるケースもあれば、求職者側が辞退するケースもあります。直接雇用が保証された制度ではないという点は、あらかじめ理解しておきましょう。

紹介予定派遣のメリット

求職者側のメリット

最大のメリットは、入社前に業務内容や職場の雰囲気を体験できる点です。正社員として入社してから「思っていたのと違う」と感じて早期退職するリスクを大幅に減らせます。実際に数か月間働くことで、面接だけではわからない社風や人間関係も把握できます。

派遣会社のサポートが受けられるのも大きな利点です。給与や福利厚生などの条件交渉を派遣会社が代行してくれるため、自分では言い出しにくい待遇面の相談もスムーズに進められます。万が一職場が合わないと感じた場合も、派遣会社が次の就業先を探してくれます。

未経験の業界や職種にチャレンジしやすい点も見逃せません。紹介予定派遣の求人には未経験OKのものもあり、派遣期間中にスキルを身につけながら直接雇用を目指せます。

企業側のメリット

企業にとっては、最長6か月の派遣期間で候補者の適性や能力をじっくり見極められることが最大のメリットです。書類や面接だけではわからない実務能力や組織との相性を確認してから採用を決定できるため、採用後のミスマッチや早期離職を防ぎやすくなります。

派遣会社が候補者のスクリーニングを行うため、自社で求人広告を出して選考する手間やコストを削減できます。また、紹介予定派遣を経て採用した人材は、すでに業務を理解した即戦力として活躍できるため、入社後の教育コストも抑えられます。

紹介予定派遣のデメリット

求職者側のデメリット

最大の懸念は、直接雇用が保証されていない点です。派遣期間中の働きぶりによっては企業から採用を見送られる可能性があり、数か月間働いた末に不採用となるリスクがあります。

また、直接雇用されても正社員とは限りません。紹介予定派遣が前提とするのはあくまで「直接雇用」であり、契約社員やパートとしての採用になるケースもあります。雇用形態は事前に必ず派遣会社を通じて確認しておきましょう。

福利厚生面での不利益も見過ごせません。派遣期間中は派遣会社の社員として扱われるため、直接雇用後に勤続年数がリセットされ、育休取得の要件を満たさないなどのケースが生じることがあります。

企業側のデメリット

直接雇用が成立した場合、派遣会社へ紹介手数料を支払う必要があります。相場は採用者の年収の25〜30%程度で、企業にとって小さくない負担です。派遣期間中の派遣料金と合わせると、通常の採用より総コストが高くなる場合もあります。

派遣期間中は雇用主が派遣会社であるため、指揮命令権と雇用契約の主体が分かれるという構造的な複雑さもあります。労務管理上のトラブルを避けるため、派遣会社との密な連携が欠かせません。また、求職者が最終的に直接雇用を辞退するリスクもあり、その場合は採用活動を最初からやり直すことになります。

紹介予定派遣・体験入社・おためし転職の違い

「入社前に職場を知る」方法は紹介予定派遣だけではありません。体験入社やおためし転職という選択肢もあります。それぞれの違いを理解して、自分に最適な方法を選びましょう。

法的な仕組みの違い

紹介予定派遣は労働者派遣法に基づく公的な制度で、派遣会社との雇用契約のもと賃金が支払われ、社会保険も適用されます。体験入社は企業の採用プロセスの一環として行われるもので、1日〜数日の短期間が多く、法的な雇用契約を伴わないケースが一般的です。おためし転職は副業や業務委託として職場体験を行う民間サービスで、雇用契約ではなく業務委託契約を結ぶことが多いのが特徴です。

期間と働き方

紹介予定派遣は最長6か月間、フルタイムで派遣先に勤務します。現職を辞めてから参加するのが基本です。体験入社は通常1日〜1週間程度と短く、選考の一部として実施されます。おためし転職は1日から数か月まで柔軟に設計されており、現職を続けながら週末や空き時間に副業として参加できるのが大きな特徴です。

報酬と保障

紹介予定派遣では派遣期間中の時給が支払われ、社会保険や有給休暇なども派遣会社を通じて保障されます。体験入社は無報酬の場合が多く、交通費のみ支給されるケースもあります。おためし転職は案件によって異なり、業務委託費が支払われることもあれば無報酬のこともあります。

適性の見極め深度

紹介予定派遣は最長6か月間フルタイムで働くため、業務内容・人間関係・企業文化を最も深く理解できます。その分、双方にとって最も確度の高いマッチング判断が可能です。体験入社は短期間のため表面的な印象にとどまりやすく、おためし転職は副業という立場上、組織の内側に深く入り込むのは難しい面があります。

どんな人に向いているか

紹介予定派遣は、現在離職中でしっかりと時間をかけて転職先を見極めたい方や、派遣会社のサポートを受けながら正社員を目指したい方に適しています。体験入社は、選考の一環として短期間で職場の雰囲気を確かめたい方に向いています。おためし転職は、現職を辞めずにリスクを抑えて複数の企業を比較したい方にとって有力な選択肢です。

紹介予定派遣で正社員登用を成功させるポイント

雇用条件は事前に必ず確認する

紹介予定派遣の「直接雇用」は正社員とは限りません。派遣を開始する前に、直接雇用時の雇用形態(正社員・契約社員など)、給与水準、福利厚生の内容を派遣会社を通じて必ず確認しましょう。曖昧なまま派遣をスタートすると、直接雇用後に期待と異なる条件を提示されるリスクがあります。

派遣期間中の姿勢が評価につながる

紹介予定派遣の期間は、いわば長い選考プロセスです。勤務態度、業務の質、コミュニケーション能力など、すべてが評価の対象になります。受け身ではなく主体的に業務に取り組み、自分のスキルや意欲をアピールしましょう。派遣先の上司や同僚との関係構築も、直接雇用の判断に大きく影響します。

派遣会社を味方につける

派遣会社は紹介予定派遣において重要なパートナーです。業務上の悩みや不安は早めに相談し、企業との間に入って調整してもらいましょう。条件交渉も派遣会社が代行してくれるため、遠慮せずに希望を伝えることが大切です。派遣会社との良好な関係が、直接雇用の成功率を高めます。

紹介予定派遣の流れ(ステップ)

紹介予定派遣の一般的な流れは次の通りです。まず派遣会社に登録し、希望条件を伝えます。派遣会社が条件に合った紹介予定派遣の求人を紹介してくれるので、気になる求人があれば応募します。

通常の派遣と異なり、紹介予定派遣では派遣先企業による書類選考や面接が行われます。選考を通過したら、派遣会社との雇用契約を結んだうえで派遣先での勤務を開始します。

最長6か月の派遣期間中に双方が適性を見極め、期間終了時に企業と求職者の両方に直接雇用の意思があるかを確認します。合意に至れば直接雇用契約を締結し、晴れて企業の正式な社員となります。合意に至らなかった場合は、派遣会社が次の就業先を紹介してくれます。

よくある質問(FAQ)

紹介予定派遣で派遣期間中に辞退できる?

はい、可能です。紹介予定派遣は企業側だけでなく、求職者側からも直接雇用を断ることができます。職場が合わないと感じた場合は、派遣会社に相談しましょう。辞退しても派遣会社が次の就業先を探してくれるため、一から転職活動をやり直す必要はありません。

紹介予定派遣の求人は少ない?

通常の派遣求人と比較すると、紹介予定派遣の求人数は限られています。ただし、大手派遣会社を中心に非公開求人として取り扱われていることも多いため、派遣会社に登録して直接相談するのが効率的です。複数の派遣会社に登録して選択肢を広げることをおすすめします。

紹介予定派遣の派遣期間中の待遇は?

派遣期間中は派遣会社の社員としての待遇になります。時給制で給与が支払われ、派遣会社を通じて社会保険にも加入します。ただし、直接雇用後と比べて給与水準や福利厚生が異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。

トライアル雇用との違いは?

トライアル雇用はハローワークが主導する公的制度で、企業が直接雇用契約を結んだうえで原則3か月間の試行雇用を行います。紹介予定派遣は派遣会社が間に入り、派遣契約のもとで最長6か月間働く点が異なります。トライアル雇用は就職困難者が対象ですが、紹介予定派遣には特定の利用条件はなく誰でも利用できます。

まとめ:入社前に職場を知る方法を賢く選ぼう

紹介予定派遣は、最長6か月の派遣期間を通じて企業と求職者がお互いを見極められる、ミスマッチ防止に優れた制度です。厚労省データでは約56%が直接雇用に結びついており、一定の実績がある仕組みといえます。派遣会社のサポートを受けながら正社員を目指せる点は、特に未経験の業界にチャレンジしたい方にとって心強いでしょう。

一方で、現職を続けながら転職先を探したい方には、副業型の「おためし転職」のほうが合っているかもしれません。短期間で職場の雰囲気をつかみたいなら「体験入社」という選択肢もあります。

大切なのは、自分の状況やキャリアプランに合った方法を選ぶこと。紹介予定派遣・体験入社・おためし転職、それぞれの特徴を理解したうえで、納得のいく転職活動を進めてください。

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